無題

儚く消えていく君に僕は何を残せたのだろう。騎士としての職務を真当することさえできなかった、君を最後まで守れなかった僕は君に何を与えることができたのだろう。君は何でも手に入れられた。富も名声も、その気になれば恋人さえも。でも君は欲が無くて、何処か抜けていて、それでもとても純粋な存在で。
そんな人がこの世界に放り出されでもしたら、きっと生きてはいけないのだろうけど、でも君はどんな境遇でも笑っていけたのだろう。その温かい笑顔で人々を幸福にできたのだろう。それがどんなカタチでも。

君はイレヴンである自分よりも遙か遠くの存在で、ブリタニア人で、皇族で、副総督で。憎むべき存在だったそれに、僕は愛されていて。自分はなんて、幸福な存在だったのだろう。
ついこの間まで手が届かなかった人に今では簡単に手が届いて、その気になればその細く白い首を絞め殺すことさえできたのだろう。
でも、僕は君を守ると決めた。この儚くて消えてしまいそうな壊れてしまいそうな君を命をかけて守ると決めた。

なのに。

その目は閉じてしまって、あの鳥の囀りの様な声はもう聞こえなくて、スザク、と俺の名前を呼ぶことはもう、なくて。


ねぇ、ユフィ。君の夢は本当に君の手によって壊れてしまったのかい？
ねぇ、ユフィ。全て嘘だと言ってくれるのを僕は待っているんだよ？
ねぇ、ユフィ。その目を開けて僕をまた見つめてくれるんだろう？



ねぇ、ユフィ。



君は、本当に幸せだったのかい？








途中でぐだぐだになってしまった騎士姫ＳＳ（爆）あー好きなのになー大好きなのになーこの二人ー。
ヤングタークスのＣＰ表記ＳＳも書きたいですが、余裕がねェよ余裕が。ネタはあるのに、キャラ壊しとかイメージが壊れたりしたら嫌なので未だに手ェ出せずorz

あ、ミニ企画参加有り難うございます！こちらの方は無期限ですので、暇があったらふらりと是非どうぞー。